まずはこれを揃えよう!日本画の基本的な道具をご紹介!

こんにちは!青野純と申します。

美大で日本画を学んだのち、

現在は個人向けに

日本画の絵画制作をしております。

今回は初心者の方に最初に揃えて欲しい

日本画の基本的な道具をご紹介していきます!

水彩やアクリルだとチューブの絵の具と

筆さえあれば着彩できますが、

日本画で使う岩絵具は

自分で絵の具を作るところから始まるので

いくつか揃えるものも多くなります。

初めは少々面倒に感じられるかもしれませんが

ゆっくり絵の具を溶く時間も

慣れると心地よく感じられてきますよ。

日本画の道具は描きたい表現によって

様々ありますが、

初めから全部揃えるのは大変なので

今回はまずこれがあればOK!

という道具をまとめました。

それではどうぞ〜

日本画に必要な道具(初めて編)

<下描き&下地>

1 麻紙ボード

2 トレーシングペーパー

3 チャコペーパー

4 墨

5 硯

6 面相筆の小または中

7 削用筆の小または中

8 刷毛

9 筆洗

<彩色>

10 粉末胡粉

11 水干絵の具

12 岩絵具

13 絵皿4〜5枚

14 膠液(にかわえき)

15 膠液を入れる用の

16 膠用スプーン

こんなにあるのかと思われるかもしれませんが

和紙から絵筆、絵の具まで

日本の文化が詰まった素敵な道具ばかりなので、

少しずつ揃えるところから始めても

楽しいと思います♪

*スケッチや下絵を描く時の道具は

含まれていませんので

そちらに関しては水彩や色鉛筆、

パステルやアクリルなど

お好みの画材をご用意下さいね。

それでは、1つずつ解説させていただきます。

1.麻紙ボード

こちらは和紙を張った薄いパネルです。

自分で和紙を木製パネルに張る方法も

ありますが、最初は既に

張ってあるものを使うと便利です。

初めは0号〜4号くらいの

小さめサイズが始めやすいと思いますが

描きたい大きさをお選び下さい。

パネルにはF、P、M

という文字の記載があります。

それぞれフランス語の

人物、風景、海という

言葉の頭文字を取っていて

文字通り、それらの描く対象に

適した規格という意味です。

ですが、それを意識するというより

ご自身の好きな形を選ぶ感覚で

決めて良いと思います。

どんな絵も一番描きやすいのはFで

最もよく選ばれる規格です。

PはFよりも幅が狭くなる分横長で、

Mは更に狭く横長になります。

そのため同じ号サイズでも

大きさはF>P>Mとなります。

写真は私がM0号の木製パネルに

張ったものです。麻紙ボードは

こちらの半分以下の厚さになります。

(大体3mm〜1cmくらい)

2.トレーシングペーパー

下図を本紙に転写する時に使う透ける紙です。

下図をコピーして転写する場合は

必要ありません。

3.チャコペーパー

こちらも転写時に使うもので

トレペの下に敷いて本紙に絵を写します。

転写された線は上から墨でなぞっても水を弾かず

はみ出たり失敗した転写線は後から消せます。

同じ転写紙でも、カーボン紙は

水を弾いてしまったり後から線を

消しにくいので、選ぶ際は気をつけましょう。

日本画で使う転写用の紙に

念紙というものもあります。

今後の投稿で作り方をご紹介しますが

水干絵の具を使って作るため

自分の好きな色にできます。

私も絵によって色を変えて使用し

雰囲気を大事にしながら描けるので

おすすめです♪

4.墨

一言に墨と言っても豊富な種類があり

奥が深いです。

青みがかったものや

グレー、茶色っぽい色調のものなど。

その他、鮮やかな色の彩墨もありますが、

初めは絵を選ばない黒色のものを

使用すると良いでしょう。

安価なものから高価なものまでありますが

お好きなものをお選び下さい。

色々試してお気に入りを見つけるのも

楽しいかもしれませんね♪

ちなみに写真は

蘭奢待(らんじゃたい)という画用の墨です。

青みのある色が綺麗で、良い香りがします。

5.硯

こちらの説明は必要ないかもしれませんね。

墨をする時に使うものですが、

鮮やかな色の彩墨をする時は

色の確認ができる白色の硯がおすすめです。

6.面相筆の小または中

面相筆は墨で下絵を描く時に使います。

絵の輪郭線を描くための細い筆です。

サイズが大中小とあり

私は小を好んで使いますが、

中の方が多く水を含み長く線が引けるため

こちらを好む人も多いです。

私はなるべく細かいところに手が届く

筆が好きなので小を使っていますが、

中でも細い線は引けるので

どちらでも大丈夫です。

7.削用筆の小または中

穂先がキュッと細くなっていて

細い線も引けますし、

力加減で太い線も面も描ける

とても表現の幅が広い筆です。

予備校時代、削用筆が1本あれば

なんでも描けると教わりましたが

本当にその通りでした。

その頃は水彩を描いていましたが

日本画でも私は一番よく使う筆です。

彩色筆というものもありますが

それよりはこちらの方が

最初に用意する筆としては

個人的におすすめです。

8.刷毛

水張りの時や全体の下地を

塗る時に使います。

描きたい大きさによって

必要な刷毛の大きさも変わりますが

0〜4号なら5〜8cmくらいの

幅のものを用意すると良いでしょう。

更に大きなサイズを制作する場合は

8〜10cm以上の幅が良いと思います。

9.筆洗

文字通り筆を洗うための容器ですね。

ボールでもなんでも筆や刷毛が洗える

大きさのものであればOKです。

10.粉末胡粉

胡粉には様々な種類がありますが

ここで粉末胡粉としているのは

精製度が低いと、乳鉢と乳棒で

細かくする作業が必要になるからです。

胡粉は板状に乾かし、

その後粉砕されるのですが

その際に塊が残るため

細かくする必要があります。

いきなり乳鉢と乳棒を

用意するのは大変と思うので

初めは既に細かくなっている

粉末胡粉を使用すると始めやすいと思います。

胡粉も奥が深いので、また別の記事で

こちらも解説できればと思います。

まずは粉末のものならどの種類でもOKです。

11.水干絵の具

主に下地用の絵の具ですが、

気に入った色は下地に限らず

使う人もおられますし

絶対の決まりはありません。

ただ、全体の印象は

岩絵具の方が更に美しいため

下地や念紙用として使われる事が多いです。

色の数は豊富なのでご自身の気に入った色を

用意してみて下さいね。

赤系、青系、緑系、

黄色系、茶系、桃色又は紫系

これら6つは基本として揃え

その他ご自身の描きたい絵によって

いくつか選ぶと良いと思います。

初めはセットを購入しても良いですが

とても高価な事が多いので、

画材店で個々に買う方がお得だと思います。

ただ、これもショップによっては

水干絵の具だと100g単位で

単価が高く売られていたりするので

10〜15グラム位から選べるお店が

良いと思います。

私が水干絵の具や岩絵具を購入する際に

オンラインでよく利用させていただくのは

こちらの2つの店舗です。

12.岩絵具

この岩絵具が日本画の魅力の

最たるものと言っても過言ではないと

私は感じています。

是非是非、実店舗の専門の画材店に

足を運んでみてほしいです。

色の揃え方は水干絵具の時のように

基本の6色は揃えてほしいですが

岩絵具は粒子の粗さによって色が

異なるので、その点を少し解説します。

岩絵具は5番〜13番と粒子の目によって

番号が割り当てられており

13番の更に上には白番(びゃくばん)

があります。

ちなみに胡粉や水干絵の具も白番です。

5番に近いほど粗く、白番に近いほど

粒子は細かくなるといった寸法です。

そして粗いほど色は濃く鮮やかに

細かいほど薄く柔らかな色になります。

ただ、元となる岩石によっては

粗くても薄い色だったり、細かくても

濃い色だったりもするので一概には言えません。

あくまで元となる岩石が基準になる事を

ご理解いただければと思います。

天然の岩絵具は粗いものほど画面に置いた時に

キラキラしてとても綺麗なのですが、

粗い岩絵具は扱いが難しく

画面に均一に塗るのさえ初めは一苦労します。

なので、まずは

11番〜13番くらいから始めて

徐々に慣れていくと良いと思います。

日本の職人さんは本当に素晴らしいなと

つくづく感じます。

それなのに、近年はその技術が

失われつつあるのでとても悲しいです。

日本画離れも理由の一つだそうです。

こんなに素晴らしい画材なのに

油絵具や水彩絵具等より

岩絵具の認知度が低いなんて

すごーーく勿体無いと感じます。

日本画を楽しむ人が増えれば

伝統技術の継承や発展にも繋がります。

日本画界隈そのものが

今より盛り上がる事を心から願いつつ

地道に発信していきたいと思います。

道具の紹介の記事なのに

語ってしまってすみません。

13.絵皿

こちらは水干絵の具や

岩絵具を溶く時に使い、

パレットの役割も果たします。

沢山あれば便利ですが、

まずは4、5枚から用意すると

良いでしょう。

14.膠液

膠は岩絵具や水干絵の具と混ぜて使う

画面に定着させる接着剤になるものです。

初めは既に液状になり防腐処理も

施されたものがあるのでそちらが便利です。

獣の皮から精製されるもので

日本画を特徴づける素材の一つです。

昔の仏画は殺生を嫌うことから

鹿の角を用いた膠を使用していたようです。

大学時代、画材の授業を受けた時に

この接着材の視点から油絵等との違いを

日本画材専門職の方から

学んだのですが、同じ顔料でも

接着剤の違いにより

仕上がる色が異なる事を学びました。

そして、膠はより色が鮮やかで

美しかったことがとても印象的でした。

膠は濃度が濃過ぎると画面が割れたり

色が悪くなってしまったりと

扱いに注意は必要なのですが

岩絵具の色の美しさを最大限生かす

定着剤だと感じます。

15.膠液を入れる瓶

膠を入れるものに膠鍋という

専用の道具もありますが

湯煎ができれば良いので瓶で十分です。

私も膠鍋は学生時代に使っていたのですが

大きくて扱いにくさを感じたので

今は瓶に入れています。

膠は温度が低いとゲル状に固まるので

湯煎で溶かす必要があります。

急激に温めると瓶が割れますし

膠の定着も悪くなるので

ゆっくりと温めて、湯の温度は

指を入れられる程度にして下さいね。

(高くても60℃くらい)

そんなに熱〜くしなくても

徐々にちゃんと溶けるので

スプーンで混ぜつつゆっくり待ちましょう。

16.膠液用スプーン

瓶に入れた膠液を

絵皿に取り出す時に使います。

日本画用の膠スプーンもありますが

100均の小さめスプーンでもOKです。

ただし、プラスチックなどの

熱に弱い素材は避けた方が良いです。

私も日本画用のは使わず、

自分の気に入ったものを使っています。

まとめ

以上、最初に揃えたい道具のご紹介でした!

途中語ったりもしてしまいましたが

少しでもご参考になれば幸いです。

日本画の道具は奥が深く、

使えば使うほど描く楽しさを実感できるので

ぜひ岩絵具を選ぶところからでも

絵の想像を膨らませながら

揃えてみてください♪

今後も学んだ知識を余す所なく

語っていくつもりなので

お役立ていただければ幸いです。

下記の記事では

日本画の描き方の基本を解説しています。

いくつか工程がありますが

理解できれば難しくは無いので

まずは全体の流れを掴んでいきましょう!

それではまた(^o^ )/♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です